俺はただ、そいつの事を女みたいな顔したやつ。

 としか認識してなかった。

 同じ学校でも、先輩である俺。後輩なあいつ。

 一学年違うだけで、目にする頻度は変わる。

 あの時、たまたま、見てしまった。

 それが俺の不運の始まりだった。





 サッカー部の俺は今日も部活動に専念する。

 だがふとした拍子に足を酷く痛めてしまい、テーピングでもしてもらいにいこうと保健室に向かった。

 何の心の準備もなかったんだ。

 そりゃ驚くだろ?

 保険医とあいつが、男同士なのに、行為をしていたわけで……。

 俺はびっくりしたけど、保険医なんかは泣いて誰にも言わないでくれってすがりつけられて。

 保険医の末路なんて知ったこっちゃないけれども。

 俺は黙ることにした。

 というか見なかったフリを決め込んだ。

 それからというもの、あいつ。

 ウィルが俺のところに姿をあらわすようになった。

 何が目的なんだか、黄色い声をあげて応援する女子達に混じって、あいつは俺だけを見つめてきやがった。

 否、俺の勘違いかもしれない。

 けれども、あいつは俺を徹底的に自分をあらわし意識させた。

 堪忍袋のおがきれたというかなんというか、その、気になってしまった俺が負けなんだと思う。

 とうとう、ウィルと、正面対決する事になったのだった。

 それはお昼時。

 いつも屋上で一人で食べる俺に、ウィルも傍で食べている。

 だから俺は声をかけた。

「なぁ。ウィル、っつったけ?何で俺につきまとうの?」

「嫌だなー先輩。つきまとうだなんて。僕がテッド先輩の事好きみたいじゃないですか」

「す、好き?それは違うと思うが、何にせよ俺につきまとうのやめてくれない?」

 そう言うだけ言って、場所を移そうとした其の時、ウィルが俺の手をひき、ちゅっ、と俺の唇にキスをした。

 それはもう濃厚なの。

 べろちゅーってわけ。

 なんとかひっぺかえした俺は叫ぶ。

「な!なっ、なにすんだよ!」

「僕、今まで特定の人以外、ばれた事ないんですよ。だから、プライドが許さなくって」

「はぁ?意味わかんねー」

「テッド先輩が、その特定の人になればいいなー。なんて思っちゃったわけですよ」

「つ、つまり俺もホモになれっつーのか?くそくらえ!」

 ドンっ。

 とウィルを突き飛ばし、階段を降りていく。

 早歩きしたからか、キスの余韻が残っているのか、俺の心臓はまだドキドキしていた。

 くそっ。

 ファーストキスだったのに……。

 あの時、確かに俺は、ウィルの妖艶な瞳にからめとられ、足がすくんだ。

 俺は、蜘蛛の巣にひっかかった蝶なのかもしれない。

 そう一瞬でも思ってしまって、ぶるっと震えた。

 明日から、あいつからどうにげようかとそればかり考えて、なかなか寝付けぬ夜。

 結局は、どういう考えであったとしても、あいつの事でいっぱいになってしまった俺は、もうぬけだせないのかもしれない。 




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2008,10,22

あとがき。
この作品は開設記念フリー小説祭りの作品です。お気に召したら貰ってやってください。その際一言いただけると嬉しいです。

誘いうけ4様。
テッドは4様にふりまわされるといいよ!
久しぶりにテド4書きました。
感覚忘れてるなぁ。


 +++

ゆんみん様のフリー小説をギリギリ強奪!
いやあ、本当にギリギリだった、危なかった・・・ほっ・・
今回の4様はなんと 誘 い 受 け
むしろ襲いうk
しかもしりがr・・ごほごほっ
そんな4様に絡み取られて、手放すことも出来ないてっつん
大好物です(真顔)
素敵な小説ありがとうございました!

20081110


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