使's




年越し蕎麦を皆で食べましたが。


「ハニーはやっぱりいらないってさ」
「そうですか」


うーんと唸るシェフデイビッド。
まかないにしては豪華な蕎麦を是非ともセバスチャンに食べて欲しかったらしい。
Bは去年もいたので分かっていたらしく、苦笑いを浮かべてデイビッドを見ていた。


「だから言ったじゃないですか? セバスチャンは食べないって」
「だけどなぁ…」
「そもそも何で食べないんだよ?」


チュルチュルと蕎麦をすすりながら同じ使用人のAがBを見る。
Aはセバスチャンマニアなのでどうしても知りたいらしい。


「何でって聞かれてもな……」


何気なく視線を逸らすとメイドのツネッテと目があった。
その何となく見てしまったのが悪かったのか、にっこりと笑ったツネッテは一言。


「あら? だって食べるものが違うもの」


そしてその場を氷つかせた。
ピシリと固まってしまったB。
Bとしては全然そんなことは考えてなくて、ただ今日だけは旦那様がセバスチャンと夕食が食べたいとただを捏ねるからと言いたかったのだが。
何だか話がややこしくなってきてしまった。


「ちょっ、ツネッテ!」
「違うの?」
「俺が言いたかったのは、」


キョトリとしたツネッテの姿に慌ててBが訂正しようとするが時既に遅し。
がっくりとしたデイビッドに、泣きながらノートに何か書き込むA。











今年も使用人'sに安息ははないらしい。



 
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