それは、クールークとの戦が終焉を向かえた後の話。 テッドとウィルは二人旅をしていた。 テッドは最初別れるつもりだったのだ。 確かに彼の事は好きだ。 大切だとも想う。 だが。 だからこそ、一線を置いた。 置こうとした。 が、失敗に終わるのだ。 ウィルのあの笑顔の前ではテッドはなす術もなかった。 * 季節は夏。 むせ返るような熱い夏の日。 テッドとウィルは倒れるように宿屋へと入った。 「暑い……」 「言うな、ウィル。余計に暑くなる」 「テッドだってそう思ってるだろ?なら心の底から叫ぼうぜ!」 「……お前、暑さで脳がおかしくなってるな?」 テッドがウィルの額を撫でると、高熱でふらふらになっているウィルを感じた。 テッドは溜息をつき、困った顔でウィルに笑いかける。 「夏に風ひくやつはなんとやら……って言うがな。女将さん濡れタオルと水桶くれませんか?」 女将に話をつけ、二階の部屋へと移動しようとした時。 彼は何と言っただろう。 「うぅぅ〜…テッド、眩暈がするぅ……だっこ」 「はぁ?自分で歩け」 「嫌だ〜!だっこだっこだっこ〜〜」 「お前、具合悪いからって人前でそんなに甘えるな!馬鹿」 「じゃぁいいもん。僕から抱きつくから」 と言うや否やウィルは、テッドの首に前から抱きついた。 「ぐえぇ。お前なぁ〜……たくっしょがねぇ」 テッドは通り行く人々が笑いを堪えるのを見ながら、腹をくくり、ウィルを抱きかかえる。 「これは貸し一つだからな」 当の本人は眩暈が激しく目を回している。 テッドの言う事も聞いているのか聞いていないのやら……。 テッドはウィルを抱えたまま、二階の端の部屋に案内された。 室内は質素な部屋である。 簡素なベットが二つあるだけだ。 さて、テッドのまずやる事は一つだ。 熱を出しているウィルの汗を拭く事。 じゃないと汗で冷えてしまってはたまらない。 テッドは女将が用意してくれた濡れタオルでウィルの体を拭いてやった。 意識が朦朧としているのか、ウィルは時々「テ、ッ…ド……」と言う。 それが何故かなまめかしいつややかな声色だったのでテッドは顔を赤らめた。 それから暫くテッドは体をベットにあずけ、ウィルの様子を時々見るようにした。 その夜、ウィルは目が覚めると、もう周りは暗闇で月の光だけが室内を照らしていた。 テッドはすでに寝入っているらしく、吐息が聞こえる。 熱でなんだか弱気になっているのか、ウィルはなんだか哀しくなった。 何故かはわからない。 けど愛しい人の顔が見たい。 そう、思った。 「テッド……」 ベットから抜け出て、テッドの隣に身を寄せる。 「テッド……僕の、テッド……」 それはそれは甘い声だった。 テッドの背中越しの体温を感じ、ふと安心し、ウィルはそのまま寝付いた。 翌朝、ウィルが目を覚ますと、テッドはウィルをしっかりと抱きしめていた。 無意識なのか、意識的なのかわからなかったが、それだけでウィルは充分幸せを感じたのだった。 * (ったくあんな甘い声だされちゃたつじゃねぇか!具合悪い奴襲うわけにもいかねぇし……)。 などとテッドが思ったのはウィルは知るよしもない。 ゆんみん様のサイトでキリ番を踏んだのでリクエストさせていただきましたテド4小説です! もう、4様かわいいかわいい! テッドだけでなく安里もメロメロです☆ 4様の「心の底から叫ぼうぜ!」とかそんなノリ安里大好きですよ! とっても素敵な小説、ありがとうございました! |